こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。今回は、日本の革靴ブランドを「既成靴編」と「ビスポーク編」に分けてご紹介します。
日本の革靴産業のスタートは明治の始まりと共にありますが、本格的に普及したのは戦後の「サラリーマンの装い」が一般的となった1950年代から。
戦後の混乱の中、民間企業は軍靴の解体から(再)出発しました。やがて、時代による機械化の波と共に多くのメーカーや職人が立ち消えつつ、現代に至ります。
日本の革靴ブランドは、やはりどこか日本的な要素があります。その分、あなたをカッコよく仕上げてくれる可能性が高いのではないでしょうか。
日本の革靴は総じて縫製やつり込み、底付けや仕上げの丁寧さが強みです。
牛革を輸入に頼らなければならないこともあり、革質は同価格帯の英国やイタリアのブランドに一歩譲るものの、作りを重視する人にピッタリです。
それぞれ、どんなラインがあるのかや、どんな人に向いているのか解説しました。
価格帯もラインも幅広いですが、ぜひ、あなたにピッタリの一足を見つけてください。
日本の既成革靴ブランド16選|プロ視点、人気メーカーをご紹介
まずは、既成靴ブランドをご紹介します。
ある程度サイズ感の目星がついていた方が試しやすいと思いますので、参考までに私のジャストサイズも併記しました。
私の場合は、人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cm、足幅の一番長い部分が10cm。スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、ドクターマーチンでUK9(ちょっと緩い)、大体の英国靴で8.5Fサイズです。
購入を検討される場合の参考にしていただけたら幸いです。
リーガル(REGAL)
Image Photo by REGAL
- 参考価格
- 28,600円(2504)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本を代表する有名ブランド
・1万円台から10万円弱まで、幅広い価格帯やラインナップから選びたい
・全国に店舗を構える入手性の高さや、アフターフォローサービスの手厚さがある
リーガル(REGAL)は1902年創業。日本を代表する有名ブランドで、全国に店舗を構える入手性&アフターフォローの手厚さが特徴です。
あまり廉価なシリーズは避けた方が良いですが、2万円台後半~の靴は本格的なモデルが揃っています。
中でも名靴「2504」は、ガラスレザー&合成ソールをグッドイヤー製法で作り上げ、どんな環境でもガシガシ履ける気楽な一足。
私の場合、概ね26.5cmがベストサイズです。
その他、ヴァン(VAN)やデサントといったブランドのコラボレーションモデルなど、面白いモデルも展開してくれます。
三陽山長(SANYO YAMACHO)
Image Photo by 三陽山長
- 参考価格
- 91,300円(通常ライン)
121,000円(匠)
176,000円(極)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本らしい意匠性あるモノづくり
・中庸~ややスタイリッシュなラウンドトウorセミスクエアトウ
・グッドイヤー・ウェルテッド製法の中でも、ソールの返りが良くつり込みも丁寧
三陽山長は2001年創業。高品質なモノづくりが特徴のブランドで「良い既成靴」を求めている方に最適です。
元々、国内の靴職人を選りすぐって立ち上げられた経緯があり、三陽商会が「山長印靴本舗」というブランドを買収してスタートしました。
通常ライン以上の靴は、浅草の「セントラル靴」が製造を担当していることでも有名です。
木型(ラスト)は、程よく中庸的なラウンドトウが中心。
現在の紳士靴におけるスタンダードのような、スタイリッシュなシルエットが特徴です。
Image Photo by 三陽山長
三陽山長は、「高級既成靴としての違い」に応えている点が魅力です。
随所に「コバの矢筈掛け」や「レベルソ仕立て」、「スキンステッチ」といった技術を要する仕様が盛り込まれています。
ラストの開発も頻繁に行っており、代表的なものはスタンダードなラウンドトウの「R2010」、ややロングノーズの「R3010」や「R309」など。トウの形はそこまで豊富ではないものの、ベーシックな形が揃っています。
私の場合、R2010の90(27.0cm)がジャストサイズ。
販売は、実店舗や公式のSANYIO ONLINEは、通常~上級ラインまで取扱があります。Amazonや楽天市場などでは通常ラインのみ。
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大塚製靴「OTSUKA M-5」
Image Photo by 大塚製靴
- 参考価格
- 88,000円(M-5 200番台)
209,000円(M-5 100番台)
550,000円(M-5 ハンドソーン)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本らしい意匠性あるモノづくり
・半カラスやヒドゥンチャネル、スキンステッチなどの意匠性が好き
・予算に限界がない人向け
大塚製靴は、1872年創業の老舗シューズメーカー
。日本を代表する高級シューズブランドで、まさしく日本の革靴の歴史と共にしてきたメーカーです。
廉価な既成靴から非常に丁寧なビスポークまで、多種多様なラインを擁している点が特徴。
中でも「OTSUKA M-5」は、創業年(明治五年)に由来する高級ラインです。
そして「M-5」ラインの中でも、200番台、100番台、ハンドソーンモデルなど、価格帯がハッキリと分かれています。
Image Photo by 大塚製靴
実際、大塚製靴のハンドソーンウェルテッドやビスポークの靴は凄いと思います。
作りも非常に丁寧で、出来栄えも日本の最高峰であることは間違いありません。しかし、価格も4、50万円台~になってしまっているので、購入できる人が非常に限られてしまいます。
一方、グッドイヤー製法のラインは8万円台~20万円程度と十分高価ではありますが、100番台は非常に丁寧な作りで“大塚製靴らしさ”を味わえます。
販売は楽天市場が充実しています。私の場合、27.0cmがジャストサイズでした。
スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)
Image Photo by SCOTCH GRAIN
- 参考価格
- 37,400円(アシュランス/ベルオム)
48,400円(オデッサ)
59,400円(インペリアル)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・下町感×グッドイヤー製法の確かな国産ブランドイメージ
・全体的にロングノーズの靴が豊富
・上級モデルは作りだけでなく革質も◎
スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)は、独自の世界観が多くのファンを魅了しているブランド。
母体となる「ヒロカワ製靴」は1964年に台東区にてスタートし、1978年にスコッチグレインが誕生しました。
グッドイヤー・ウェルテッド製法で丁寧に作られた日本らしい靴を、下町感あふれるブランディングで展開しています。
現在は隅田を本拠地に、靴界の「下町のものづくり」ブランドを代表する存在です。
スコッチグレインもさまざまな価格帯のラインを揃えており、シリーズ名でランクが分かるようになっている点が特徴です。有名どころは3万円台の「アシュランス」「シャインオアレイン」、4万円台の「オデッサ」、5万円台の「インペリアル」など。
Image Photo by SCOTCH GRAIN
特に、上級モデルの「インペリアル」や「インペリアルプレスティージ」は日本靴の中でも革質が高く、非常に優秀です。
国の既成靴では味わえないような作りの丁寧さも光るため、個人的にもお気に入りです。
その他、多店舗展開や純正品による修理が可能な点も魅力。
大切に履き続けること×アフターフォローの充実が、スコッチグレインを選ぶ理由になります。
全体的にノーズの長いモデルが多いですが、私の場合、オデッサやインぺリアルの26.5Eがジャストです。
幅広甲高の方は、EEEのモデルが良いでしょう。全体的にサイズ感は大きめです。
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ユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)
Image Photo by UNION ROYAL
- 参考価格
- 44,000円(グッドイヤー)
60,500円(プレステージ)
69,300円(プレミアム)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ちょっと変わった雰囲気×技術力ある靴
・ハンドソーン(九分仕立て)の靴が好き
・どちらかというと足の甲が低い
ユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)は創業1952年、オカモト株式会社が展開するブランドです。
パッと見は細身でスタイリッシュな印象ですが、甲は低めなものの足幅はEEEまで展開しています。
私もかなり足形と合うブランドとして愛用しています。
ユニオンインペリアルは「グッドイヤー」「プレステージ」「プレミアム」の3段階にラインが分かれています。
そして、ミドルグレードのプレステージライン以上は、ハンドソーンウェルテッド製法(九分仕立て)で作られています。
Image Photo by UNION ROYAL
ユニオンインペリアルは、ラテン的なデザインエッセンスや、どこか色気のある靴を求めている人にピッタリのブランドです。
また、技術力の高さにも定評があります。
6万円程度でハンドソーンウェルテッド製法を採用している点や、「レベルソ仕立て」や「スキンステッチ」などが盛り込まれていることも見逃せません。
革質は“普通”ですが、作り込みの良さを重視する人にも非常にオススメです。
その他、“はっ水レザー”モデルは、雨の日でもオシャレをしたい人にピッタリ。私の場合、UK8.5EE~EEEがジャストサイズ。
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マスターリーガル(The MASTER REGAL)
マスターリーガル(The MASTER REGAL)は、リーガルの上級ブランド。
日本上陸60周年を記念して、2021年に新設されたブランドです。
「リーガル」ブランドの上級ラインと比べても、一層の高級感を追求したディテールが特徴です。
既成靴らしい足形の「守備範囲の広さ」も意識しながら、中庸的×上質な雰囲気を意識しています。
アッパーやライニングには、エルメス傘下のタンナーであるデュプイ社のカーフレザーを使用しています。
全体的なデザインセンスも高く、革靴マニアが手を出しても十分足るレベルの本格靴です。
リーガルトーキョー(REGAL TOKYO)
Image Photo by REGAL
リーガルトーキョー(REGAL TOKYO)は、「リーガル」の名を冠するブランドの中で最高級のライン。
元々はビスポークシューズ(注文靴)ブランドで銀座店のみ取り扱われていたラインですが、現在は既成靴も販売しています。
革質や作りの細かさが一線を画すラインです。アノネイ社の「アニリンカーフ」をアッパーに採用しつつ、ハンドソーン・ウェルテッド製法(九分仕立て)で底付けされています。
入手性の低さが欠点ですが、運が良ければ御殿場などアウトレットモールでも入手可能です。
気に入ったモデル&サイズ感があれば絶対にオススメですので、ぜひ足を運んでみてください。
MIYAGI KOGYO
Image Photo by WFG
- 参考価格
- 69,630円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ベーシックなラウンドトウ×6万円で優秀な靴
・革質よりステッチやつり込み、ソールの作りこみの丁寧さを重視している
・質実剛健さ×歩きやすさを重視する人に
“MIYAGI KOGYO”は2009年、東北を代表するシューメーカーである「宮城興業」が、ワールドフットウェアギャラリーと共同で立ち上げたブランドです。
“MIYAGI KOGYO”は、ベーシックなラウンドトウ×6万円台の価格で優秀な靴を展開しています。
後述の42ndロイヤルハイランドの「エクスクルーシブ」が、“スタイリッシュさ”を特徴としている点とも対照的です。
ステッチの丁寧さやソールの作り込み、目付けの丁寧さなどに優れる靴です。
販売は、ワールドフットウェアギャラリーの店舗&オンラインのみ。
Amazonや楽天市場には取り扱いがありません。UK9が私のベストサイズです。
トレーディングポスト(TRADING POST)
Image Photo by TRADING POST
- 参考価格
- 39,600円(T1910)
59,400円(T601)
85,400円(TP1984)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・幅広い価格帯&ラインナップから選びたい
・価格に対して革質に優れた革靴が多い
・アメリカンテイストのブーツやサドルシューズも有名
トレーディングポスト(TRADING POST)は1984年設立されたセレクトショップ。
アレンエドモンズやカルミナ、クロケット&ジョーンズやガジアーノ&ガーリングなど、有名靴メーカーを輸入販売しているショップでもあります。
一方、“トレポス”のオリジナルレーベルは、幅広い価格レンジで展開しています。
廉価なモデルで3万円台、最上位のモデルで8万円台。
どのシリーズも価格に対して作り込みのクオリティが高く、革質も総じて高めです。
ちなみに、「トレーディングポスト」というブランド名は、ネイティブアメリカンとヨーロッパからの移民との物々交換所に由来します。
そのためか、サイズ表記がUSサイズであることに注意してください。
また、最上級ラインの「TP」シリーズは、三陽山長と同様「セントラル靴」が製造しています。
三陽山長に比肩する出来栄えで、8万円台の国産靴をお求めの方に強くオススメできます。
私の場合はUS9サイズがベスト。オンラインストアは公式HPか、ZOZOTOWNが充実しています。
42nd ロイヤルハイランド
Image Photo by 42nd ROYAL HIGHLAND
- 参考価格
- 32,450円(グッドイヤー)
44,000円(エクスプローラー)
46,200円(ネイビーコレクション)
62,700円(エクスクルーシブ)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・エクスクルーシブ・・・スタイリッシュ×6万円の優秀な靴を探している
・エクスプローラー・・・ノルヴィージャン製法を4万円前後で体感したい
・通常&ネイビーコレクション・・・3~4万円台で優秀な革靴
42ndロイヤルハイランドは1983年創業、代官山の紳士靴専門ショップ&ブランド。
オリジナルブランドに加え、チャーチやパラブーツ、グレンロイヤルといった有名ブランドを揃えています。
自社ブランドは、スタイリッシュ~カジュアル感の強い木型まで揃えていることが特徴。
複数のラインに分かれており、エクスクルーシブラインで6万円台、中堅のラインで3~4万円台のレンジです。
「エクスクルーシブ」はスタイリッシュですが、「エクスプローラー」はポッテリとしたカジュアル靴が中心。また、「ネイビーコレクション」「グッドイヤー(通常ライン)」は中庸的と、ラインによって見た目の傾向も異なります。
Image Photo by 42nd ROYAL HIGHLAND
どのラインも価格に比して優秀ですが、特にオススメなのは最上級の「エクスクルーシブ」ライン。
6万円の国産靴でスタイリッシュ×シンプルな上質さが◎。
また、「エクスプローラー」ラインも独特の雰囲気のある国産靴です。
(ダークスーツに合わせるシリーズではないものの)オンラインでの販売も充実しています。
私の場合、UK8.5サイズがジャストでした。
公式HPはフルラインナップ、楽天市場では通常~中堅ラインの取り扱いがあります。
レイマー(Raymar)
Image Photo by Raymar
- 参考価格
- 44,000円(ハンドソーン)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・4万円の予算で丁寧に作られたハンドソーン(九分仕立て)の靴
・半カラスやヒドゥンチャネル、スキンステッチなどの意匠性を導入している
・やや甲高な足形をしている
レイマー(Raymar)は2014年、静岡県焼津市にて誕生したブランド。
4万円前後で“高品質な革靴”を探している方に最適な「高コスパブランド」です。
革質も高く、ヒドゥンチャネルや半カラス仕様など、4万円台では導入が難しい仕様も採用しています。
創業者の大石裕介は営業マン時代、安くても満足いく靴に出会えなかったことが、ブランド設立の切欠となったとのこと。
本当に細かな部分ではどうしても採用できないものがあるものの、消耗の激しい環境でも、安心して履ける靴作りを心掛けているブランドです。
Image Photo by Raymar
また、レイマーはネット販売オンリーのブランドです。Yahooや楽天市場に公式ショップがあります。
フィッティングに関しては、「アシーレ(足入れ?)」という独自のサービスで測定可能です。
詳細は公式HPに説明がありますが、木型を基に作られた、ビニール製の履物を送付してくれるというもの。
見た目は簡素ですが、最大幅や全長といった数値だけでなくボールジョイントの位置まで試せます。
私の場合、US9(27.0cm)がベストサイズですが甲はやや高めでした。
ロイドフットウェア(LLOYD FOOTWEAR)
Image Photo by Lloyd footwear
- 参考価格
- 47,300円(Vシリーズ)
60,500円(Mシリーズ)
102,300円(マスターロイド)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・“英国靴”を日本メーカーで体感できる
・OEM元のブランドネームより廉価で、コスパ重視な靴にトライしたい
・幅広い価格帯&ラインナップから選びたい
ロイドフットウェア(LLOYD FOOTWEAR)は1991年創業。
「英国のファクトリーにOEM生産をさせている日本ブランド」という、変わった特徴を持っています。
ロイドフットウェアの場合、価格帯ごとに製造元が分かれています。
「Vシリーズ(バーカー製)」「Mシリーズ(チーニー製)」「マスターロイド(クロケット&ジョーンズのハンドグレード)」などが代表的。
全グレード共通でグッドイヤー・ウェルテッド製法。また、それぞれのOEM元ブランドよりも販売価格が廉価であることも特徴です。
私は、V/M/マスターロイド、いずれのラインもUK8.5サイズがベストです。
銀座ヨシノヤ
Image Photo by 銀座ヨシノヤ
- 参考価格
- 110,000円(紳士靴600ブラック)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本の歴史あるメーカーの靴
・マッケイ製法の紳士靴で有名
・既成靴だけでなく、ハンドソーンのオーダーメイドシューズを比較的気軽に検討したい
銀座ヨシノヤは創業1907年、日本の靴メーカーを代表する老舗のひとつ。
レディースの靴が主力ではあるものの、紳士靴&子供靴の製造販売から始まったブランドであることから、メンズラインも継続して販売しています。
銀座ヨシノヤの革靴はマッケイ製法が中心であることも特徴です。
ここまで紹介してきた靴メーカーに耐久性に劣りますが、軽く返りの良い革靴を提供してくれます。
一方、オーダーメイドでは、ハンドソーン・ウェルテッドでの製作も可能です。
クオリティも高いため侮れないメーカーですが、全体的にやや高めの価格かもしれません。
エトスクラブ(Ethos Club)
Image Photo by Ethos Club
- 参考価格
- 73,440円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・九分仕立ての靴にトライしたい
・価格に対し、かなり上質な靴
・受注後、ゆっくり待てる人向け
エトスクラブ(Ethos Club)は、1998年に誕生したブランド。
海外ブランドのインポーターとして有名な小松義照が、関義信と出会ったことで始まったシューズブランドです。
ブランドが掲げるポリシーは「Made in EDO」。
日本のものづくり文化に対する行き先に憂慮した小松氏が、日本製の良い靴を送り出そうという靴ブランドです。
注文してから製作に取り掛かるため、納期は2カ月~。ゆっくりと待てる人向けのブランドです。
しかし、7万円台とは思えない作り込みをしている、非常に優れたブランドです。
浅草靴誂(あさくさかちょう)
Image Photo by 浅草靴誂
浅草靴誂(あさくさかちょう)は2009年に誕生した新興ブランド。
日本の革靴づくり産業の中心地である浅草・隅田川流域に居を構える、日本らしさあふれるネーミングが特徴です。
甲高幅広だけれど、スタイリッシュな印象を持たせたい人に最適です。
代表的な木型は足幅にゆとりを持たせつつ、くびれとやや長めのスクエアトウによって、スーツスタイルが映える靴です。
価格は4万円台~と、日本製であることを考えるとリーズナブルと言えます。ビブラムソールのモデルも充実しているので、雨の日や耐滑性を重視する人にもオススメ。
私は甲が低めなので、26.5cmがベストですが少し緩いです。
全体的に革質は普通ですが、グッドイヤーの出し縫いも丁寧。全国展開しているわけではないので、楽天市場で購入しても良いという人にはとても良いと思います。
鞆ゑ(ともえ)
Image Photo by 鞆ゑ
鞆ゑ(ともえ) は、1945年に創業したトモエ商事のオリジナルブランド。
「日本のこころを履く」をコンセプトに、日本の職人の手によってさまざまなテイストの展開が特徴です。
具体的には、
- 工夫を随所にあしらったイタリアンテイストの「桜」
- フレンチテイストの「藍」
- ブリティッシュテイストの「墨」
- 日本製に拘り技術を注ぎ込んだ「粋」
の4ライン。
主に上2つがマッケイ製法、下2つがグッドイヤー製法で作られていますが、特に「粋」の出来栄えは良いと思います。
こちらも革質は普通ですが、ディテールに技術力の高さを感じさせるブランドです。
木型もさまざまな方に合う展開がされている&百貨店でよく目にするブランドなので、一度試着してみると良いと思います。
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【ビスポーク】日本のオーダー革靴ブランド9選!【プロ視点】おすすめをご紹介
ここからは、日本のオーダーメイドシューズブランド9選を紹介します。
ビスポークシューメーカーは、マシンメイド×既成靴に慣れ切った社会において、顧客のための一足を作ってくれることが特徴です。
「自分だけのもの」という点において、非常に特別な靴を提供してくれます。
今日有名となった彼らの多くは、2000年代以降に設立されました。
これは、90年代からの不景気突入によって、日本の「終身雇用制度」が幻想であることに気付かされた若者たちの一部が、靴職人を目指した時期があったことも理由とされています。
私は最初の4ブランドしか履いたことがないので、具体的な評価は差し控えさせていただきます(目指せ全制覇)。
開拓する度に追加していきたいですね。
ジ・浅草コブラー(The Asakusa Cobbler)
ジ・浅草コブラー(The Asakusa Cobbler)は、石郷岡博が2007年に東京・浅草に立ち上げた靴修理店。
さまざまなサービスに対応してくれるショップで、ハンドソーンウェルテッドのオールソールも丁寧に対応してくれます。
靴修理だけでなく、2013年から自社製のビスポークシューズも製作しています。
価格はセミオーダーで10万円台~、フルオーダー&オプション込み込みでも40万円程度。
とても丁寧な説明が好印象の店舗で、ビスポークはオプションで端革を使った仮履き靴も履けるようにしてくれます。
実用的な靴を実質2足?作ってくれます。
レコット(LECOTT)
レコット(LECOTT)は2010年設立のブランド。
津久井玲子が力強さと女性的な繊細さを兼ね備えた、非常に美しい靴を世に送り出しています。
故・関信義の最初の弟子でもある津久井玲子は、師匠譲りの美しい九分仕立てが真骨頂。
スタイリッシュなラストが特徴で、個人的にはメダリオン(穴飾り)の美しさが際立っていると感じます。
百貨店の西武を中心にトランクショーを行っており、オーダーメイドと共に既成靴も販売しています。既成靴は比較的リーズナブルな価格で入手可能。
ココン(KOKON)
Image Photo by KOKON
ココン(KOKON)は1995年創業、石川県金沢市にあるショップ&ブランド。
2000年に「セントラル靴」との協働で自社ブランドをスタートした、知る人ぞ知るショップです。
オーダーメイドは「クレマチス銀座」の高野圭太郎&「◯違鷹羽(まるにちがいたかのは)」の常世田哲という、いずれも日本屈指の靴職人が担当しています。
また、現在の既成靴は、「JOE WORKS」に製造を依頼しているグッドイヤー・ウェルテッド製法の「Factory made in Japan」ラインなどが有名です。
クレマチス銀座(CLEMATIS GINZA)
Image Photo by CLEMATIS GINZA
クレマチス銀座(CLEMATIS GINZA)は、先述のココンでオーダーシューズを手掛けている、高野圭太郎が2008年に開設したビスポークブランド。
靴は細身で艶っぽいですが、どこか“男臭さ”も内包されているヴィンテージ感があります。
ビスポークは型紙の作成から裁断、アッパーの製甲、底付けに至るまで高野が一人で責任をもって製作しているそう。
アトリエには沢山のサンプル品が並べられており、こちらも一見の価値アリ。
価格は込み込みで40~50万円弱と高額ですが、日本トップの靴職人が一貫して製作していることを考えると納得のプライスではないでしょうか。
(ここからは、私が今後、個人的に行ってみたいビスポークメーカーをご紹介します。)
J.S.T.F.(ジャパン・シューズ・テクニカル・ファクトリー)
J.S.T.F.(ジャパン・シューズ・テクニカル・ファクトリー)は2005年、浅草にて橋本公宏が立ち上げた工房。
「靴は歩くための道具」を哲学とし、実用的かつ顧客の要望に応えた靴を製作するファクトリーとのこと。
橋本公宏が靴職人を志したのは28歳、かなり遅咲きの才能だったようです。それまでは飲食店や長距離トラック運転手を経て、関信義に弟子入りしたそうです(この辺りのエピソードも、下記の本で記されています)。
スピーゴラ(SPIGOLA)
Image Photo by SPIGOLA
スピーゴラ(SPIGOLA)は「履きだおれ」の街として知られる、兵庫県神戸市に居を構えるアトリエ。
鈴木幸次が2001年に立ち上げ、国内外で活動の幅を広げている日本を代表するビスポークシューメーカーです。
靴の型紙職人を父に持つ鈴木幸次は、1997年にイタリアで高名な靴職人であるロベルト・ウゴリーニに師事。ブランド名はイタリア語で「鱸(スズキ)」を意味し、苗字とかけているのだとか。
Image Photo by SPIGOLA
人気店ゆえに、ビスポークは納期が1年とのこと。
日本の靴作りの実力を国外に知らしめた一人であり、相応の貢献を果たしている点を踏まえれば当然の価格だと思います。
フィレンツェの靴らしいセミスクエアトウと、強烈なサイドウォールの立ち上がり、踝から踵にかけての造形が美しい木型だと思います。ぜひ一度、神戸まで訪れたいファクトリーです。
ヒロヤナギマチ(HIRO YANAGIMACHI)
Image Photo by HIRO YANAGIMACHI
ヒロヤナギマチ(HIRO YANAGIMACHI)は、東京・千駄ヶ谷に居を構えるビスポークアトリエ&ブランド。
設立者の柳町弘之は、London Cordwainers Collegeを卒業したデザイナー志望でした。
ものづくりの追求の果てに、全ての工程を自身で製作するビスポークの世界に辿り着いたとのこと。
鈴木幸次と同様、現在の日本のビスポークシューメーカーを代表する存在です。写真のループオックスフォードが非常に印象的です。
HPはオーダーメイド初心者にも優しく分かりやすい、ユーザーファーストな印象を受けます。
イルミーチョ(IL MICIO)
イル ミーチョ(IL MICIO)は、深谷秀隆が日本人で初めて海外拠点としたビスポークアトリエ。
ビスポークシューメーカーの中でも一際、意匠性の高い靴作りが特徴です。
ブランド名はイタリア語で「仔猫」を意味し、「猫のように自由に誰にも媚びずに、やりたいことだけをやりましょう」という心情を表現しているそう。
厳密にはイタリアのブランドですが、セレクトショップの「トゥモローランド」にてオーダーの受注会や既成靴ラインの「ヒデタカフカヤ」を展開しています。
ビスポークの相場価格は、今回紹介した中で最も高額な65万円~。
ヨウヘイフクダ(YOHEI FUKUDA)
ヨウヘイフクダ(YOHEI FUKUDA)は、2008年に東京都港区にてスタートしたビスポークシューメーカー。
英国的な靴をベースに、無駄のないシンプルな靴が印象的です。
創業者の福田洋平は、英国ノーザンプトンの博物館で見た1910年代の靴に見惚れ靴職業訓練学校に入学しました。
その後、ジョンロブやエドワードグリーン、チャーチといった、靴好きなら誰もが知る有名ブランドでキャリアを積んだ人物です。
ヨウヘイフクダでは、セミオーダー、フルオーダーに加え、伝統的な英国的な内羽根のシューズを製作する「ハウススタイルビスポーク」の注文方式を揃えています。
最初に買うべき革靴の【デザイン&色】は?
革靴の重要な点として、決められたデザインによって、フォーマル度が区分されていることが挙げられます。
同じ用途目的のための「ユニフォーム」や「ラケット」を、複数メーカーが出しているのと同じく、「ブランドA」も「ブランドB」も、同じカテゴリーに属する靴を販売しています。
靴のデザインは大半が20世紀初頭に決められ、「この装いにはあの靴」「こういった場にははこの靴」といったドレスコードが制定されました。
まさしく、スポーツのルールと同じです。革靴の大まかな形(カテゴリー)によって、合わせるべきスーツなどが変わります。
そして、ここでは最初に買うべき紳士靴のデザインをご紹介します。
いずれもシンプルな無地のスーツから、シャドーストライプなどのさり気ない濃紺や濃灰のスーツに合わせられる靴をピックアップしました。
もちろん、同じジャンルの靴でも革質、作りの丁寧さ、そして靴の形状を決める木型(ラスト)など、ブランドによる個性はあります。
決められた枠組みの中で、いかに傑作やお気に入りに触れられるかも紳士靴界の醍醐味ですよ。
【おすすめデザイン①】革靴の基本【内羽根ストレートチップ】
まず、ご紹介するのが内羽根ストレートチップというタイプの靴。
つま先に横一文字のキャップが被せられていることが特徴で、キャップトウとも呼ばれます。
革靴の最も基本の形にして、冠婚葬祭にも対応するフォーマルな靴です。
内羽根(オックスフォード)とは、靴紐を通す穴部分のパーツが足の甲部分の革に対して内側に位置するものを指します。
ヴィクトリア王朝時代のアルバータ公が考案したとされ、ルーツからもフォーマル度が高いという特徴があります。
フォーマルシーン向けの革靴ですので、あまりデニム等とは合わせません。
「ダークスーツにソリッドタイ」といった厳かな装いはもちろん、シャドーストライプやピンヘッドのスーツ、ライトブルーの無地シャツやドット柄のネクタイなど、冠婚葬祭~少しドレスダウンした組み合わせに良いですよ。
【おすすめデザイン②】コーデの幅とサイズ調節がし易い【外羽根プレーントウ】
続いては、外羽根プレーントウ。キャップトウと比べても、更にシンプルな見た目です。
plain(装飾の無い)toe(つま先)という意味で、穴飾り等が何もないデザインの靴を指します。
外羽根(ダービー)というのは、靴紐を通すペロペロした部分(羽根)が、足の甲部分の革に対して上から後付けされているものを指します。
内羽根式に比べるとフォーマル度は下がりますが、アメリカでは舗装路が普及する1920年頃までレッドウィングなどをスーツに合わせていたそうです。
軍用靴がルーツとされ、ワークブーツを経てビジネスシューズに導入されました。
また、外羽根はサイズ調節の自由度が高いため、甲が高い人も合わせやすいこと点が特徴。無地に加え、ストライプやチェックのスーツやシャツと合わせてもOKです。
【おすすめデザイン③】 脱ぎ履きしやすくスタイリッシュ【Vフロントダービー】
最後に、Vフロントダービー。
物凄くメジャーなデザインの革靴というわけではないのですが、外羽根プレーントウの一種にして、パッと見のもシャープな印象になっています。
先述のプレーントウと比べると、正面(フロント)から見たときに、羽根がV字を描く&外羽根を英語でダービーと呼ぶことからこう呼ばれます。
メーカーやモデルによって異なりますが、紐を通す穴(アイレット)数が少ないので、日本の屋内外で脱ぎ履きする環境に適しています。
見た目も外羽根プレーントウの中では別格のドレッシー感があり、無地のダークスーツと合わせも大丈夫です。
【ちなみに】色は何色を選べば良い?【最初の3足は、全て黒で良い】
結論、革靴の色は、最初の3足は全て黒でOK。
茶色やバーガンディといったカラーも好きな方がいらっしゃると思いますが、上述の「フォーマル度」は、全て黒であることを前提に話をしています。
ストレートチップでも、黒以外は冠婚葬祭には向きません。そのため、最初は黒から揃えて、4、5足目から茶色を購入すると良いですよ。
また、ビジネスのコーディネートは靴に対して鞄やベルト、できれば財布も色を統一することをオススメします。
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