こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。今回は、中東欧&ドイツの革靴ブランドをご紹介します。
革靴というと英国やイタリア、あるいは日本のメーカーに目を向けがち。しかし、玄人向けに「東欧靴」というジャンルも見逃せません。
特に、今回ご紹介している中東欧やドイツの革靴ブランドは、総じて英国や米国の有名ブランドよりも数段“良い靴”を作っています。
中東欧&ドイツの革靴ブランドは、ハンドメイドによる高い木型の再現度をユーザーに提供しているメーカーが今も複数存在します。機械式の靴にはない“手作り感”も魅力のひとつ。
とはいえ、今回ご紹介するブランドはいずれも例外的な存在です。当該地域は工房による実力差も激しく、産業的にも原料となる牛の飼育体制が(西欧や米国ほどには)確立されていません。
西欧から良質な革の供給ルートを拓き、高い技術力と融合して日の目を見たブランドが、今日のステータスを得られています。
それでは早速、どんなブランドがあるのか見ていきましょう!
中東欧&ドイツ革靴ブランド6選!【プロ視点】人気・有名・高級一覧
それでは早速、東欧/中欧/ドイツの革靴ブランドをご紹介します。参考までに私のジャストサイズも併記しました。
私の場合、人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cm、足幅の一番長い部分が10cm。
スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、ドクターマーチンでUK9(ちょっと緩い)、大体の英国靴で8.5Fサイズです。購入を検討される場合の参考にしていただけたら幸いです。
ヴァーシュ(VASS)
Image Photo by VASS
- 参考価格
- 159,500円(日本国内定価)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・フルハンドソーンによる底付けの靴
・踵やラストの造形にこだわりたい
・東欧靴らしいモデル×スタイリッシュなモデルの両方を展開
ヴァーシュ(VASS)は1978年創業。高名な靴職人として知られる創業者ラズロ・ヴァーシュの手掛ける靴は、数ある紳士靴メーカーの中でも最高峰の既成靴を作る、ハンガリー・ブダペストのブランドです。
ヴァーシュは工程のほぼ全てをハンドメイドで少数生産。革質も高く、フィット感が既成靴とは思えないレベルの完成度です。インソックや踵の掴み、カウンターエッジやべヴェルドウエストなど細かな仕様も特筆事項。
ブランド名だけに捉われない、「最高の既成靴」を探している方に強くオススメ。詳細は下記記事をお読みいただけたら嬉しいです。
私の場合、FラストやUラストで42.5サイズがジャスト。Kラストは43サイズ、ブダペスト/3636/P/P2ラストは42サイズがちょうど良いサイズ感です。
また、ラズロ・ヴァーシュの著書「紳士靴のすべて」は、紳士靴の歴史から製法まで記された靴好き必見の書です。日本語訳版も発行されたので、ぜひ読んでみてください。
マテルナ(MATERNA)
- 参考価格
- 1,200ユーロ
マテルナ(MATERNA)は、ヨーゼフ・マテルナが1907年に立ち上げたオーストリア・ウィーンのビスポークシューメーカー。既製靴も生産しており、リーズナブルな価格で非常にハイクオリティな靴を購入可能。
マテルナのアトリエは、革マニアにはたまらないストックが見られます。特にオーダーメイドは必見で、革も通常のカーフやコードバンなどに加え、エイ、カンガルー、ペッカリー、各種エキゾチックレザーなどでも製作可能。
現在の経営者であるゲオルグ・マテルナは「希望さえあればどんな革、色でも用意する」という職人スタイルを貫き通し、実力も折り紙付き。現地のアトリエでは英語なら対応可能。靴好きに訪れてほしいショップです。
エドワードマイヤー(EDUARD MEIER)
Image Photo by EDUARD MEIER
- 参考価格
- 175,000円(レッドタン)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・フルハンドソーンによる底付けの靴
・現行モデルは非常にロングノーズ
・知る人ぞ知る、世界最古のシューズブランド
エドワードマイヤー(EDUARD MEIER)は創業1596年、ドイツ・ミュンヘンに現存する世界最古のシューズブランド。バイエルン王家御用達でもあった名門は、現在もブランドロゴにロイヤルワラントを掲げています。
(残念ながらビスポークは2000年代に廃止されてしまいましたが)非常に高品質な既成靴を展開。今も昔も日本ではめったにお目にかかれない、希少価値の高いブランドです。
エドワードマイヤーは価格帯ごとに、レッドタン/グリーンタン/パープルタン/ブルータンの4つのラインに分かれ、ハンドソーンウェルテッド製法の「レッドタン」が最上級。その他のラインは、クロケット&ジョーンズなどが製造しています。
サンクリスピン(SAINT CRISPIN’S)
Image Photo by SAINT CRISPIN’S
- 参考価格
- 220,000円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・九分仕立て×踵の小ささにこだわりのあるブランド
・ウエストの細い、シャープでスタイリッシュなモデルが中心
・トップブランドのOEMも担当していた超実力派
サンクリスピン(SAINT CRISPIN’S)は、靴の聖人の名を冠したオーストリア・ウィーンの靴ブランド。マイケル・ローリックが1985年頃から靴作りを始め、1992年にサンクリスピンネームでブランドを創業。
現在はルーマニアに工房を構え、九分仕立ての靴を少数生産しています。踵の造形は既成靴界で1、2を争うほど小ぶりで、踵が抜ける方に特にオススメのブランド。
かつて、ボノーラ(BONORA)という90年代、ジョンロブの最高峰モデルを製造していた靴メーカーが存在しました。「旧ボノーラ」のソール裏にウッドネイルが打たれたモデルは、主にサンクリスピンが製造していました。
また、サンクリスピンは、スタイリッシュでスタイリッシュな美しい靴作りが特徴。全体的にアーチが隆起して土踏まずをホールドしてくれるので、非常に履き心地と歩きやすさにも優れています。
その他、公式HPではサイバーフィッティングというサービスを展開しています。自宅まで仮履き用の靴を送付してくれて、サイズ感をフィードバックすることで適切なサイズを提案してくれます。
私の場合、CLASSICラストでUK8.5がジャストサイズ。
ハインリッヒディンケラッカー
Image Photo by Heinrich Dinkelacker
- 参考価格
- 159,500円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・重厚感あふれる見た目のインパクト
・足幅にゆとりのある歩きやすい靴
・ヴィンテージシューズに興味があり、過去作品にも触れたい
ハインリッヒディンケラッカー(HEINRICH DINKELACKER)は1879年創業、ドイツを代表する高級紳士靴メーカー。パッと見のインパクトが強く、一度見たら忘れられない見た目の特徴があります。
見た目通り足幅も広く、外羽根で甲も調節しやすく見た目の重厚感も印象的。その割にソールの返りが良く、見た目とは裏腹に歩きやすい靴になっています。
創業者ディンケラッカーは元々、高齢者富裕層向けに靴作りを行っていた靴職人。履きやすく高級感が溢れる靴は「靴のロールスロイス」と形容されます。
また、80年代まではアポロ(APOLO)というブランド名で展開されており、ビンテージマニアの中でも「旧ディンケラッカー」は広く認知されています。
ただし、2021年にハンガリーの工房が閉鎖されスペイン製に切り替わりました。同時にラインナップも刷新され、BUDAとRIOという代表的なモデルも生産中止に。
(私もスペイン製のディンケラッカーを目にしましたが)、以前ほどにはオススメ度の高いブランドではありません。
ルーディックライター(LUDWIG REITER)
Image Photo by LUDWIG REITER
- 参考価格
- 90,000円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・オーストリアでは有名な靴ブランド
・革靴だけでなく、ジャーマントレーナーやカジュアルシューズまで展開
・日本では知る人ぞ知るブランド
ルーディックライター(LUDWIG REITER)は1885年創業のオーストリアの総合靴メーカー。日本での知名度こそ高くはないものの、オーストリアでは有名な高級シューメーカーです。
元々は、オーストリア・ハンガリー帝国軍の将校や警察にブーツなどを供給していた軍需メーカーでした。20世紀になると中欧でいち早くグッドイヤーウェルテッド製法を導入し、現在は革靴だけでなくスニーカーまで展開しています。
ルーディックライターの代表モデルはは3ホールのプレーントウダービーやジャーマントレーナーなど。英国靴の10万円クラスにも引けを取らないクオリティの高さが魅力のメーカーです。日本でもBEAMSなどのネットショップ経由で入手可能。
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