最後まで読めばわかること
- 原料も製造も輸入に依存する日本のファッションは、構造的に「円安」に弱い
- ブランドやショップは「値上げ」「品質低下」の主に2手段で円安を乗り切る
- 総じて購買力が上がらない日本の消費者は、賢く価値観を見定め、必要なものに集中投資すべき
2025年になりましたが、ここ2、3年程、いわゆる相対的に「円安状態」が続いています。
日本のファッション業界は、多くの原料や製造工程を海外に依存していたり、あるいは海外ブランドの商品力が強かったりという現状があります。
それらは「輸入」が中心であるため、円安の影響を大きく受けています。
しかし、生地や素材、商品そのものの輸入コストが高騰すれば、製造・販売企業や輸入代理店は、何らかの形でコストを吸収しなければなりません。
その結果、価格の上昇や品質を落とすといった選択肢を余儀なくされるケースが出てくるのです。
本記事では、円安がファッション業界にどのような影響を及ぼし、なぜ“品質低下”につながる可能性が指摘されているのか。
そして、私たち消費者が賢くファッションを選んでいくために、どんな視点が必要かを一緒に考えてみたいと思います。
企業のコストカットの実態や、素材ランクの引き下げ、そして今後の展望などを含め、円安×ファッションの問題を多角的に見ていきましょう。
「円安」がファッション産業に与える影響とは
日本ではファッションブランドの多くが、海外から原材料(生地・糸・副資材など)を輸入したり、海外工場で縫製や加工を行ったりしています。
そのため、円安状態では企業が原材料コストの上昇を吸収しきれず、コスト削減策として生産工程や素材のランクを落とすリスクがあります。
日本の原料自給率は1.5%程度と推測される
まず、原料に関しては、日本は多くの原料を輸入に頼らざるを得ない状況にあります。
例えば、
- 綿・・・輸入に依存し、自給率はほぼ0%という状況。江戸時代の自給率はほぼ100%だったものの、現在は一部のオーガニックコットンなどの小規模栽培者を除くと、ほぼ100%が輸入綿花。
- ウール・・・自給率0.1%未満。戦前~昭和30年代までは羊は増加傾向にあったが、そもそも羊肉の食文化がほとんどなく、高度経済成長期に輸入体制が拡大されたことで輸入に頼るように。また、羊の中でも重用される「メリノ種」の飼育が日本の気候では難しい。
- 牛革・・・1~2割程度と推測されている。革は食用の副産物、もしくは亡くなった動物のものを使うという掟があり、日本の牛革の食料自給率は4割弱と言われている。しかし、和牛の飼育や輸出、食の消費地と革の消費地が必ずしも一致しない点も加味すると、概ね上記の範囲内と推測される。
- 化学繊維・・・日本には東レや帝人といった化繊製品を手掛ける有名企業があるものの、原料である原油そのものは、ほぼすべて輸入。よって、自給率はほぼ0%という状況。
といった状況です。
中には、豚革など自給率が100%を超えるものもありますが、全体的には「1.5%程度」と言われています。
「日本製」製品の割合も1.5%程度と言われている
また、原料だけでなく日本に流通する服飾品における「日本製」の割合も、現在は1.5%程度と言われています。
1970年代には7~8割程度、1990年には50.1%が日本製でした。
しかし、2002年には10.4%、その後、ファストファッションの台頭、そして2011年の東日本大震災による三陸海岸沖の縫製工場への大打撃などが重なり、12年には3.5%まで減りました。
その後も減少の一途を辿り、2023年には1.5%程度と推測されています。
このように、私たちの着ている衣類は原料にせよ、製造国にせよほとんど全てが輸入品に頼っています。
そして、 その状況で円安が進行すると、原料にせよ、縫製された商品にせよ、輸入は「ドル」や「元」などの輸入元の通貨で支払われます。
つまり、1ドル100円に比べて、1ドル150円の円安状態では、仕入れ額を円換算すると支払い総額が増えるわけです。
人件費とダブルパンチになることも
近年、多くの日本ブランドが、アジア各国(中国、ベトナム、バングラデシュなど)の工場で縫製・加工を行っています。
これらの縫製コストは主に米ドル建てで決済されることが多く、円安が進むと同じ額の米ドルを支払うのにより多くの円が必要になるため、企業のコストが膨らみます。
また、人件費自体も新興国で徐々に上がってきており、円安が加わることでダブルパンチの状況下にあります。
円安は「物流コスト」にも大きな影響を与える
さらに、円安は原材料や工賃だけではなく、物流コストや燃料費の面でもマイナスに作用します。
上述の通り、原料も製造も海外に頼り切っている日本のアパレル企業は、大量のそれらを輸入する際に空路にせよ航路にせよ、物流コストや燃料費が掛かります。
円安の場合、これらもファッション企業にとってコスト増となり、経営上の大きな負担となります。
また、国際的な原油価格の高騰と円安が同時に起きれば、輸送費がさらに上積みされる形となり、企業が負担するコストはどんどん増えてしまうのです。
そして、円安と並行して、国際情勢(例えばウクライナ情勢やOPECの政策など)に左右される原油価格が上昇すれば、国際輸送費や加工にかかるエネルギー費も高騰します。
ファッション業界においても、海上輸送でコンテナを使った素材・製品の行き来、工場で動かす設備などの燃料や電力が高くなり、結果的に消費者が手に取る商品の値段に影響が及びます。
特に、ファストファッションなど大量生産・大量輸送を行うブランドにとっては、これらのコスト上昇が利益を圧迫しやすく、最終的に「使う素材の質を下げる」「縫製工程を簡略化する」といった方向性に繋がりかねません。
コストが決まっているからこそ「値上げ」や「品質低下」せざるを得ない
原料・製造・物流のほとんどを輸入に頼っている日本の服飾産業ですが、為替が円安方向に振れると原価が高くなります。
しかし、ブランドも営利企業である限り、必ず何らかの方法で利益を確保しなければなりません。
つまり、
- 販売価格を上げる(値上げ)
- 商品の原価率を下げる(基本的に品質低下)
の「二者択一」を迫られます。
ここでさらに問題となるのが、日本人の実質賃金、つまり購買力が上がっていないという現実です。
これは、
- 海外ブランド
- (日本、特に東京は購買力の高い顧客が多数いるマーケットであることは変わらないものの)国内の顧客が縮小していけば、徐々にインバウンドや他の地域に向けたブランドになる。
- 競合の多いポジションや価格帯の場合、日本市場そのものから撤退する。
- 国内ブランド
- リブランディングを行い、高級化路線に踏み切る。
- 価格を上げ続けてもなお、購買がついてくるような「唯一無二のブランド」であればむしろ利益↑になることも。しかし、それ以外は品質を下げるしかない。
という状況であることに他なりません。
企業の選択は、大きく分けて2つ
ひとつは「製品価格を上げる」こと。もうひとつは「品質や製造工程の一部を削減し、コストをカットする」こと。
前者の「価格転嫁」は消費者への影響がダイレクトに表れる一方、後者の「コストカット」は一見価格を維持できるように見えますが、製品の素材ランクや製法の簡略化により“質の低下”を引き起こすリスクが高まります。
また、日本のファッション産業全体を見渡すと、国際競争力も為替相場に左右されます。
海外ブランドとの競争は激化しており、また、円の購買力が決して上がっていないことを鑑みると、今後さらなる厳しい局面に立たされるかもしれません。
もちろん、円安は「輸出」には有利にはたらくため、これを機に海外進出を狙う日本のブランドも少なくはありません。
とはいえ、国内市場においては厳しい環境下で、どのようにブランド価値や品質を守り、消費者の満足度を維持して行くのかが大きな課題です。
企業のコスト削減はどう「品質低下」につながるのか
価格の上昇は数字の通り、消費者の目に明らかではあります。
しかし、品質低下というのは、一見すると分かりにくいコストダウンかもしれません。
そこで次に、こういった状況下でブランドが、どのように「品質低下」させるのかを消費者視点で見て行きましょう。
素材や生地ランクの引き下げ
ランクの引き下げ例
- 上質ウールから廉価な混紡素材へ
- コスト高騰を避けるため、同じ商品ラインでも素材グレードを落とす可能性
- 合成繊維の割合増
- 天然素材の代わりにポリエステルやレーヨンなどが多用され、風合いや耐久性が低下
- 副資材のグレードダウン
- ちょっとした芯地やボタン、ファスナーなど、消費者が気付きにくい部分
まずは、素材や生地ランクの引き下げです。
円安により、輸入素材の価格が高騰する中で、例えばアパレル企業は
という判断を下すことがあります。
具体的には、
- 同じ素材でも、より原価の安いものへ➡表示上は同じ「ウール」や「コットン」でも、原価の低い原料や生地へ切り替える
- ウール100%➡合成繊維(ポリエステルやアクリルなど)が混じったウール「ブレンド」だったり、ウールっぽい生地だけれどウールが1%も入っていないケースも散見される。
- ○○タッチ/○○ライクへ変更➡ウールライクなど。ウォッシャブルなどの実用性を確保する場合もあるが、要はコストダウン。
といった方法が挙げられます。
もちろん、化学繊維やリサイクルポリエステルなどの再生利用は、コストダウンだけではありませんし、天然繊維では得られない機能性や意義を得られる部分もあります。
とはいえ、実際の肌触りや保温性などがダウンし、着用した時の快適さが損なわれる場合も多々あることも確かです。
また、付属品や副資材でコスト削減が行われる場合もあります。
例えば、高品質なYKKジッパーから安価なファスナーに切り替わる、ボタンの材質が天然素材だったものがプラスチックに変わるなど。
あるいは、服の中身の芯地や構造など、いずれも見た目にそれほど変わらない/分からない部分でコストが削られることが多いです。
しかし、仕立ての寿命やメンテナンス性、あるいは、実用性には問題がなくとも、なんとなくの所有満足度にも影響を与えます。
生産工程の簡略化
簡略化の一例
- 縫製の手間を省く
- ステッチ数を減らしたり、裏地・芯地を省略するなどでコストダウン→仕立ての質が下がる
- 検品や品質管理のレベルダウン
- 海外縫製工場の検品体制を削減し、検査コストを減らす→不良品のリスク増
あるいは、生地素材の他にも縫製などの生産工程で「コストダウン」を行う例もあります。
具体的には、
- ステッチの簡略化や削減
- 本来、強度や美観を高めるために、二重ステッチ・三重ステッチを施す箇所があったりしますが、コストカットで一重に減らすなど、作業時間を圧縮して縫製コストを下げる
- 簡略化されたパターンへ変更
- 「服の設計図」であるパターンを縫いやすいものにすることで、生産時間や工程数を短縮する
- 人体は複雑な曲線の集合体なので、結果着にくい服になる場合も
- 検品の工程を短縮
- 不良品が混在するリスクが高まるが、短期的にはコストを下げられる
といった点です。
ただし、「細部の意味」は審美性やルーツへの敬意といった、実に複雑な要素が絡み合います。
どんな場合にもステッチが二重三重でないといけないわけではない点や、あえて裏地や芯地がないといった意匠性がある点には注意してください。
正直、プロでないと安易に判断できない部分はあると思います。
ただし、縫製の雑さなどは比較的分かりやすい部分かもしれません。
担当人員や開発費の縮小
縮小の一例
- デザイナーやパタンナーへのコスト圧
- 人員削減・外注費を抑制することで、製品の細部に手間がかけられなくなる
- 商品開発期間の短縮
- 企画から販売までのリードタイムを詰め、十分な試作や品質チェックが行われない
円安で原材料や生産コストが上がり、利幅が圧迫されると、人件費やデザイナー、パタンナーなどの人材投資も削減対象になりやすいです。
具体的には、
- デザイナー数を減らす、または企画期間の短縮
- 従来のように試作やサンプル検討をじっくりやれず、アイデアを十分に消化しきれないまま製品化
- タイパによるコスパ追及の時代
- 同企業・グループ内で同じような商品
- 表面的なマーケティングによる差別化に終始し、「ふたを開ければ一緒」というブランドたちも
- 「ブランドなのに個性がない」は本末転倒
- 縫製スタッフの教育や技能向上の機会が減る
- プロダクトのクオリティ↓として返ってくる
- プロダクトのクオリティ↓として返ってくる
といった状況になります。
国全体の状況が関わってくるため、ハッキリ言って一企業や個人ではどうしようもない部分はあります。
特に、価格転嫁(値上げ)するか、何とか現行の価格を維持するために品質やコストを削減するかは、それぞれメリット・デメリットがあり、一筋縄ではいきません。
「値上げ」と「品質低下」のメリット・デメリットまとめ
価格転嫁(値上げ)のメリット・デメリット
メリット
- 品質を守りやすい
- 原材料や縫製のコストが上がっても、それを価格に反映すれば、今までと同じ素材や工程を使い続けられる場合がある。
- ブランドとしてのイメージや顧客満足度を維持しやすく、長期的にはファン離れを防ぐ効果が期待できる(ただし、価格を上げたからといって品質を下げてないと安心するのは尚早。両方を実施する企業もある)。
- 企業の利益率を確保できる
- 一時的にコストが上がったからと言って品質を落とすと、次回以降の商品開発に支障が出たり、新規顧客獲得にマイナスが発生しうる。
- 価格転嫁は経営の安定にもつながり、特にハイブランドなど高価格×ファンの多いブランドなど、価格弾力性が小さい(=値上げしても顧客が離れにくい)場合は有効。
デメリット
- 消費者の「高すぎる」という反応
- ファストファッションやミドルプライス帯ブランドの場合、値上げをするとユーザーが「コスパが悪くなった」と感じ、他の安価な競合ブランドに流れる可能性がある。
- 消費者心理としては“元の値段”が基準になりやすく、円安によるコスト増は理解されづらい。
- 需要の減退リスク
- 一度値上げすると、よほどのことがない限り価格を下げにくい。それによって一定層の顧客が購買を控える恐れがあり、売上減につながりかねない。
- 特に中低価格帯のブランドは、価格転嫁が売れ行きに直結するため慎重にならざるを得ない。
品質ダウンのメリット・デメリット
メリット
- 表面上の価格を据え置きできる
- 消費者目線では“値段が変わっていない”ため、一見して購買心理のハードルはあまり上がらない。
- 質が分からない/関心毎ではない顧客に対しては、「いつもの価格だから安心」という意識でリピーターをある程度確保できる。
- 短期的な売上確保
- 値上げを回避すれば、売上本数が大きく落ちるリスクを減らせる。
- 大量生産・大量販売で利益を稼ぐビジネスモデル(ファストファッションなど)では、枚数を出し続けられるメリットは大きい。
デメリット
- 消費者の“質落ち”体感によるブランドイメージ悪化
- 生地の薄さ、縫製の荒さなどが顕在化すると「このブランド、前より悪くなった」と感じる人が増加。
- SNSや口コミで広まると、長期的にはファン離れや新規顧客獲得の妨げとなる。
- 製品寿命の短さ
- オイルコーティングなどの仕上げが簡略化されたり、裏地・芯地を省略すると、耐久性が落ちてすぐ傷むケースが増え、リピート購入意欲をそぐ。
- 「安かろう悪かろう」の印象が定着すると、中長期的にはブランド力を損ない競合に負けるリスクが高まる。
ブランドポジションによる違い
また、ブランドのポジションによっても、採用する戦略は大まかには異なります。
- ハイブランドの戦略
- ルイ・ヴィトンやエルメスなどのラグジュアリーブランドは、値上げしても一定の富裕層・ブランドファンが離れにくい。
- そのため、円安やコスト増があっても“価格転嫁”する傾向が強く、品質やブランドイメージを優先して守る姿勢を取りがち。
- ただし、為替とは別の要素で、品質を下げるサイレント値上げを行う場合はある。他にも、グループ化によるファクトリーの統一や、グループ内でデザイナーなど人材のローテーションを行うことで、効率化と新鮮さを両立している。
- ミドル・ファストファッション領域
- ユニクロやGU、ZARAなどは、比較的価格感が重要な市場で競合し、値上げへの抵抗が強い。
- こうした企業は大量生産・コスト削減という路線を強化し、値段をあまり変えずに素材・工程の見直しを図るケースが多い。
- ただし、一部のファストファッションでは下請けへのコスト負担増といったしわ寄せなどのリスクが高い(尤も、これはハイブランドやミドルレンジの価格帯ブランドでも起こっていること)。
- 国内アパレルメーカー・セレクトショップ
- 大手アパレルメーカーや、ビームスやユナイテッドアローズなど、ミドル~やや高めの価格帯を扱うレンジでは、いかに間の価格帯での付加価値を提供できるかが鍵。
- メイド・イン・ジャパンの品質や伝統産業とのコラボレーションなど、「ユニクロと変わらない」印象を与えず、ハイブランドとも差異化を果たす。
- 一部アイテムで小幅値上げをしつつ、他アイテムで品質調整をするなど、アイテムごとに柔軟な価格戦略をとることが増えている。
といった戦略です。
また、見た目が嗜好に合うのであれば、日本の本当に良いものを作るファクトリーブランドに目を向けるのも良いと思います。
彼らも値上げと無縁とは言えませんが、日本の縫製技術やテキスタイル産業は、未だに他国と比較しても頭一つ抜けています。
もちろん、全て日本のブランドが良いわけでも、まかなえるわけでもありませんし、カッコよさとのバランスも重要ではあります。
しかし、「モノの良さ」「日本の伝統産業」などに興味があるのであれば、知る人ぞ知る良質なファクトリーブランドを応援するのも手です。
では、消費者視点で「どのように選択すべき」か?
そして、これらの「値上げ」「品質低下」に関して、私たち消費者はどうすれば良いか。
大前提、ハッキリ言って、価値のパラダイムシフトが行われでもしない限り、どうしようもない部分はあります。
日本が服飾産業の原料を輸入に頼っていることも、製造工程の大部分を海外に頼っている部分も一朝一夕でどうにかできる問題ではないからです。
自給率を上げようにも人口減少社会において大体的に取り組むことは難しいですし、原油が出ない/ウールの気候的な問題などは地理的にどうしようもないです。
個人的には何より、日本人の購買力が上がっていないことが問題であると思います。
「円安」とは、国際競争力における円のパワーが弱まっていることの証左でもあるからです。
行動指針の概要
そのような中で、私たちがどう行動すれば良いかの指針としては、
- 商品の価値を見極められるようになる
- 同じブランド・同じアイテム名でも年を追うごとに素材が変わっているケースがあるため、公式サイトで素材表記やディテールを確認するなどが大事。
- 値段が上がっていても、置かれている状況を理解し「しっかり品質が維持されているなら納得できる」という消費者も少なくない。
- ただし、世間の質に関する口コミは要注意。(ごめんなさいですが)的外れなことを言っている口コミが多いです。
- 「安さ優先」か「品質重視」か
- コストを抑えたい場合はある程度、品質ダウンを許容する必要があるかもしれない。
- 長く使う前提のアウターや革靴などは、多少高くても品質重視が結果的にコスパを高めることも多い。
- 本当に自分に合っているかを確かめるには、レンタルを上手く使うことも検討すべき。
- 自分が何に価値を置くのか、価値観を知ること
- ブランド力なのか、モノとしての良さなのか、コスパなのか、新しい時代の社会的意義に価値を求めるのか。どれが最も自分の価値観に近いかを明確にする。
- リサイクル化学繊維に対して肌が負けない人や、新しい時代の国の状況や価値観と受け入れられる人にも、新しい付加価値やコストダウンは気にならない/受け入れられることも。
- 有名ブランド=高品質とは限らない。ファクトリーブランドなど、今まで目を向けなかったブランドにも注目してみる。
といったものが挙げられます。
ブランドネーム(もちろん、ブランド力も良い服における基準のひとつです)だけにとどまらない、モノとしての良い服の見分け方を涵養すること。
そして、「服によって安さ重視と品質重視を分ける」「あなたの価値観を顧みて、合った選び方をする」といった基準を設けることも良いと思います。
併せて、服装選びのヒントとなるものも紹介します。
ハイブランドの正体とは?
そもそも、あこがれのハイブランドとは一体どのようなものでしょうか?
呼ぶ人によっても多少意味(というか範囲)は異なるものの、上記記事にて「ハイブランドとは何か」を紹介しています。
あなたが本当に憧れる対象なのか、私の経験も含めてお伝えしています。
ぜひ、お読みいただけると嬉しいです。
ユニクロの品質はどのくらい良いのか?
また、(厳密には異なるものの)ファストファッションブランドの代表格とされるユニクロの品質について、実際のところはどうなのでしょう?
正直、円安という状況下において、特にここ5年くらいのユニクロは品質を落としています。
国の状況と、凄まじい製造効率化、そしてマーケティング戦略が、ユニクロの今日を作り上げました。
ぜひ、上記記事もお読みいただけると幸いです。
ファクトリーブランドを上手く活用していこう
個人的には、ファクトリーブランドを上手く活用すると良いと思います。
ファクトリーブランドとは、主に工場や製造業者が自ら企画、設計、製造、販売を行う形態のブランドを指します。
通常、製品を他のブランド向けに製造するOEM(Original Equipment Manufacturer)やODM(Original Design Manufacturer)とは異なり、ファクトリーブランドは製造元が自社ブランドとして製品を市場に直接提供する点が特徴です。
ファクトリーブランドの特徴
- 製造から販売までの一貫性
- 工場が直接企画・製造し、販売まで行うため、製品のクオリティやデザインに一貫性がある。
- コストパフォーマンスが高い
- 中間業者を挟まずに直接消費者に販売するため、コスト削減が可能で、競争力のある価格を実現しやすい。
- 高い技術力と専門性
- 長年の製造経験や技術を活かし、品質の高い製品を提供できる。
- ブランド独自のアイデンティティ
- 製造元が直接デザインやブランド戦略を立てるため、他社との差別化がしやすい。
SHOLLWORKSでも、ファクトリーブランドについて多く取り上げています。
ぜひ、記事を参考にしてください。
オフプライスで購入できるプラットフォームを活用する
あるいは、ブランド物の「掘り出し物」を、お得な価格&安心できるプラットフォームで購入することも考えられます。
例えば、
サイト名 | 特徴 |
---|---|
GLADD | 特に中価格帯のブランドに強い、キッズも豊富 |
GILT | 日本国内から海外のラグジュアリーブランドが揃う |
YOOX | 特にイタリアのハイブランドに強い |
FARFETCH | 新商品や貴重なプレオウンドも豊富 |
といったサイトたち。
総じて最新シーズンの商品を購入することは難しいですが、そこまでトレンドの最先端を求めているわけではない人に向いています。
レンタルで楽しむ&よくよく検討する
あとは、
本当に服を所有しないと楽しめないか
レンタルで検討してから、本当に自分で合っているかを判断する
といった、衝動買いによる無駄の低減も、(実質)値上げ&実質賃金が上がらない状況には有効です。
上記記事で紹介している「アナザーアドレス」などでレンタルで代用してみたり、一度レンタルしてみてから購入すると、結果として「良いと思って買ったけれど着なかった・・・」といった結果を防げます。
一カ月試せるので、「賢い買い物」にもぐっと近づけるオススメのサービスですよ。
終わりに|円安下における「賢いチョイス」が、あなたの価値観を洗い出す
今回は以上です。
円安の状況下でファッション業界ができること、そして、消費者のできる選択は決して多くはありません。
これらは日本の競争力や、日本人の購買力にも直結する問題だからこそ、そんなに簡単な問題ではないからです。
しかし、こんな状況下だからこそ、ブランドに対する目を養い、さまざまなブランドがあることを知り、そして、あなたの価値観や嗜好に合った選択をする。
まさに、ピンチは見つめ直すチャンスでもあるのです。
服というものは高いです。
一着何万円、何十万円もするのに、iPhoneのような機能性があるわけでも、生成AIのような次代の到来を感じさせるツールでもありません。
しかし、あなたの個性や価値観、ライフスタイルに対するスタンスがありありと表れるツールです。
生活必需品にどれだけ彩を与え、個性を付与し、価値観を投影させるのか。
あなたらしい服や服装を、見つめ直してみませんか!
おしまい!
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