メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」は、提携工場や消費者への影響をまとめた初の「Impact Report 2024」を発表しました。
このレポートでは、日本のアパレル産業の現状や、同ブランドの取り組みがもたらした変化について詳細が明らかにされています。
レポートの主なポイント
日本アパレル産業の現状と課題
国産比率の劇的低下
- 1991年:50% → 現在:1.5%
日本製ファッションの国産比率は著しく低下しました。しかし、その中には世界的に評価される高い技術を持つ工場も含まれています。
工場の現状
- 黒字経営:83.3%
提携工場の8割以上が黒字を維持していますが、原材料費や人件費の高騰、職人の高齢化などが課題として挙げられています。
サプライチェーンの新しい仕組み
- 「工場希望価格」の導入
工場が価格を決定する仕組みを採用し、適正な利益を確保。これにより、妥協しないものづくりと高品質な商品提供が可能になりました。
提携工場へのインパクト
経営の改善
- 経営にプラス:91.7%
提携工場の大多数が、ファクトリエとの協業が経営にプラスの影響を与えたと回答。 - 繁忙期以外の調整
閑散期にも生産を調整できる環境が整い、効率的な運営が可能に。
職人の誇りと成長
ファクトリエとの提携は、職人たちに誇りと成長の機会をもたらしています。
自社ブランドを持つことで、職人たちのモチベーションが向上し、自分たちの仕事が社会や人々に役立っていることを実感しています。
また、消費者のニーズを直接反映したものづくりに取り組むことで、職人たちは新たな技術や知識を習得し、製品の品質向上にもつながっています。
さらに、他の工場とのネットワークが広がり、業界内での情報共有や協力が進むことで、職人たちのスキルや経験がさらに強化されています。
このような環境が、職人たちの成長を促し、日本のものづくり文化の発展にも寄与しています。
消費者へのインパクト
消費者の意識変化
- 85%が「どこで誰が作ったか」を意識するように
作り手の背景や工場名を認識することで、商品の価値が再評価されています。 - 「1着を5年以上愛用」:50%
耐久性の高い商品とベーシックなデザインが、長期使用を促進。
持続可能な消費文化
- 工場からの手紙:商品に同梱された手紙を毎回読む消費者が65%。作り手とのつながりが愛着を生む。
- ケアの意識向上:「洋服を丁寧にケアするようになった」との回答が多数。
環境への取り組み
ファクトリエは、環境への負荷を軽減するための取り組みを積極的に進めています。
廃材となる虫食いナラ材やリサイクルポリエステルを活用し、環境に配慮した商品を開発しています。
また、10年間使用できる耐久性の高いTシャツなど、長期使用が可能なアイテムを提供することで、大量生産・大量廃棄の文化からの脱却を目指しています。
さらに、資源やエネルギーの効率的な利用を重視した製品開発を進めることで、繊維産業が抱える環境問題に対応しています。
ファクトリエの事業が成長することで、環境だけでなく、作り手や使い手、そして地球全体にポジティブな影響を与える存在となることを目指しています。
ファクトリエの未来とレポート詳細
ファクトリエは、国内市場におけるシェア拡大を目指し、年間100万人の愛用者を獲得することを目標としています。
これは国内マーケットの1%に相当し、ブランドの認知度向上とともに、消費者と職人の双方に広く認知される数値となります。
このシェアを実現することで、5年後には10%、10年後には30%と、さらなる成長を目指しています。
また、提携工場における自社ブランドの比率を30%に引き上げることで、持続可能な経営モデルを確立する計画です。
自社ブランドの売上が増えることで、工場は安定した収益基盤を築き、時給の向上や若い人材の採用が可能となり、下請け仕事への依存を軽減できます。
このように、ファクトリエは高品質で魅力的な商品を開発し、消費者に長く愛されるブランドを目指しています。
詳細情報とレポートリンク
このレポートは、ファクトリエの取り組みが日本のアパレル産業や消費者、そして環境にどのような影響を与えたかを示しています。詳細は以下のリンクから確認できます。
ファクトリエの取り組みは、アパレル業界の課題を解決し、作り手と使い手をつなぐ新しいビジネスモデルの実現を目指しています。