こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。
本日は日本を代表する革小物ブランド、キプリス(CYPRIS)の財布や名刺入れなどの革小物を紹介します。
キプリスはロゴの主張より、シンプル×高品質を求めている方にオススメのブランド。
一方、Google検索などでは「ダサい」「評判悪い」といった口コミをチラホラ聞かれます。
これに対して、プロのファッションデザイナー目線で言うと、
- ベルトや財布など、モノは寧ろ美しいしダサくない
- とにかく価格に対して高品質
- 何年か前のHPはダメだったけれど、少しずつ良くなっている
です。
一昔前のホームページはかなり壮年向けというイメージでしたが改善はしてきています。
そして、近年は商品イメージも30代が使っていてもおかしくないものになっていると思います。
また、「ロゴマークどどーん」な財布が好きな方にはイマイチピンとこないと思いますが、「ひっそりと良いものを使いたい方」にピッタリです。
今回は、そんなキプリスのモノづくりの良さと、代表的なシリーズをピックアップしました。
シンプルで良い財布を探している方は、ぜひ参考にしてくださいね!
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キプリスはダサい?|評判の悪さは主に数年前のイメージが原因か
Image Photo by CYPRIS
まず、キプリスが「ダサい」「評判悪い」と検索されている理由について。
これは恐らく、何年か前までの「おじさん/おばさん」向け商品やHPが大きな原因だと思います。
百科店で目にして、店員さんから良いと勧められて、HPを覗いてみたら「何これ・・・」と思うユーザが多かったことは推察できます。
実際、私もそれは思いました。
「折角プロダクトは非常に良いのだから、もう少しHPの見た目は何とかならないのかな・・・」と、常々思っていたブランドです。
ただ、ここに関してはHPのリニューアルなどを含め、ここ数年で改善されてきたと思います。
もちろん、バナーやフォントなどまだまだ改善の余地がありますし、“長年の顧客向け”の商品はまだあるように感じます。
これはこれで大切にしてほしいですが、ブランドが生き続けるためには、どこかで新陳代謝が必要です。
これらが、例えば新宿伊勢丹や銀座三越の顧客からすると、悪い方向に作用している感はあります。
百貨店のバイヤーに非常に評価され、顧客の目にも留まるブランドだからこそ、こういった検索需要が生まれていると思います。
イメージ戦略に課題がある企業であることは間違いありません。
しかし、シンプルな革の財布を作るとなると、非常に優れています。
キプリス(CYPRIS)の優れた点とは?評判や店舗も紹介
Image Photo by CYPRIS
私が思うキプリスの優れた点は、主に以下の3点。
- 製品品質、特に作りのレベルは随一
- 高価格帯ブランドの中では高コスパ
- 公式オンラインや百貨店など、さまざまな場所で取り扱いがあり
この中でも特に、技術的なレベルの高さは特筆事項です。
日本鞄ハンドバッグ協会認定の「革小物一級技術認定職人」という資格がありますが、高い難易度で知られます。
キプリスは一級保持者を多く囲っていることからも、国内随一のレベルを誇ります。
キプリスの品質|日本の職人が作る、さまざまな技術を駆使した商品
Image Photo by CYPRIS
キプリスの技術力は細部に宿ります。ここでは、幾つかご紹介したいと思います。
例えば、写真の財布の角には「菊寄せ」という、革を何層にも重ねてカーブさせる技術を採用。
シワを均一に逃がせないと革がダルダルにってしまうので、菊の花のように革を重ねることによって美しく纏めています。
菊寄せをするためには、カーブで重ねる部分を更に薄く漉(す)く必要があります。
漉いた革の厚さは、なんと僅か0.02mm。新聞紙の半分の薄さしかありません。
例えば、私が使用していたジルサンダーの財布(写真)の場合は45°で一折。
これも見た目は綺麗ですが、菊寄せはその数段上を行く職人技。
こういった細かな仕様は非常に手間が掛かり、日本など一部の国の職人でないと技術的に難しい部分です。
海外のハイブランドにとっては、どうしても導入が難しいディテールです。
Image Photo by CYPRIS
また、キプリスは縫製技術の高さも特徴。
写真の「縫い返し」は、(一般的な服作りと同様)2枚の革の表側を内側にして縫い合わせた後に、革をめくって表を外側にする工程です。
表面から見えるミシンステッチが隠れるため、クリーンな見た目になります。
Image Photo by CYPRIS
また、上記は「忍び縫い」が施されている箇所。
あらかじめ革端を余らせて漉(す)いておき、余った部分を内側の革へ縁(へり)返して被せることでステッチを隠す技術。
接着だけでなく、中でキチンと縫い合わせているので耐久性も高くなります。
あくまで一例ですが、これらはごく一部のブランドにのみ掛けられるような手間です。
ブランドの知名度よりも作りの良さを味わいたいのであれば、キプリスは良い選択ではないでしょうか。
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また、キプリスは世界中からの原皮を活かした商品づくりを、各ラインナップに揃えています。
これは、職人の技術に自信がないと展開できません。
例えば、中心ラインナップのシラサギレザーは北欧産の原皮、レーニアカーフは希少な国産牛(食牛は殆どが輸入のため、国産の原皮は非常に希少)の原皮を使用しているといった具合。
革も動物や使用する部位によって特性が異なるので、それぞれ適したアイテムや縫製方法も異なります。
いずれにせよ、多様な展開できるのは、多様な作り方ができる人材がいるからこそ。
高価格帯のメーカーの中では高コスパ
キプリスはハイブランドはもちろん、同等品質の専業革小物ブランドと比べてもリーズナブルな価格設定です。
同じ国産、クオリティも近い競合ブランドとしては、例えばガンゾ(GANZO)や土屋鞄製造所が挙げられます。
例えば、表側がブライドルレザーの長財布(ファスナー小銭入れあり)であれば、
キプリス | 37,400円 |
ガンゾ | 42,900円 |
土屋鞄製造所 | 39,600円 |
といった具合。
いずれも英 J&E セドウィック社によるブライドルレザーを使用し、概ね縫製コストも同等程度です。
土屋鞄製造所とは微差に思えますが、キプリスは内側に使用している革がルーガショルダー、土屋鞄製造所は通常のヌメ革が使われています。
Image Photo by FRAME
ちなみに、英国を代表する革小物ブランドであり、残念ながら2022年でブランドを終了してしまったホワイトハウスコックスの販売価格は63,800円(税込)。
関税や代理店も関係してか、かなりの高価格になっています。
また、先述の「菊寄せ」項目の通り、角処理の丁寧さには差があります。
もっとも、英国ブランドは格式高いブランドイメージと魅力に優れるため、どちらを優先するかという価値観によるチョイスの差もあります。
キプリスはどこで買える?→取り扱い店舗やECサイトはこちら
まず、「キプリスの販売店舗は?どこで買えば良いの?」という疑問については、下記をご参照ください。
- 全国の大手百貨店(伊勢丹、高島屋など)
- 公式オンラインショップ
- 大手ECサイト
キプリスは基本的にセールを行わないので、どのストアでも価格は同じ場合がほとんど。
取扱直営店は、こちらから検索可能です。
公式の場合、プレゼントの際にはギフトラッピングにも対応していたり、1年間の無料修理サービスやアウトレット品、公式限定販売品もあります。
よって、公式オンラインは「プレゼント」「掘り出し物」にオススメです。
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その他、キプリスは三越伊勢丹やAmazon、楽天市場でも購入可能。
個人的な感想としては、キプリスはECサイトに登録している写真と実物の差が小さいです。
「実物のイメージと違った!」というケースは多くない&返品交換もしっかりしているので、こちらも入手手段としてオススメです。
キプリス(CYPRIS)の財布や革小物のおすすめシリーズは?
次に、キプリスの中で代表的なシリーズをチョイスしました。
沢山あるシリーズの中から、「このシリーズはこういった人に向いている」という情報付きです。
キプリス(CYPRIS)シラサギレザー シリーズ
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- 参考価格
- 19,800円(長財布)
17,600円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・キプリスの中でも中心的なシリーズ
・耐久性が高く、特に長年愛用できる
・ほのかなアンティーク感が好き
まずは、シラサギレザーシリーズ。
今回ご紹介する中で最も扱いやすい特性の革で、初めての高級革小物や過度に気を使わずに使用したい方にオススメです。
ネーミングは革を鞣している兵庫県姫路市の名城、白鷺城に由来します。
原皮にはオランダ産キップレザー(生後半年~2年までの牛革)を使用しており、硬くしなやかな革へと仕上がります。
鞣し工程を二回、それぞれタンニンとクロムによって行う「コンビ鞣し」を行っていることが特徴。タンニン鞣しの「革の風合いを残す点」と、クロム鞣しの「傷や水に強い品質安定性」を両立しています。
また、シラサギレザーは染色を手染めで行っており、あえてのムラ感を出しています。
特に、明るい色はムラ感が分かりやすいですね。
キプリス(CYPRIS)ルーガショルダー&フルベジタブルタンニンレザー シリーズ
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- 参考価格
- 26,400円(長財布)
23,100円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・荒々しい革の表情や雰囲気に惹かれる
・引っ張りや摩擦に対して耐久性が高い
・どちらかというと私服でのシーンが多い
続いては、ルーガショルダー&ベジタブルタンニンレザーシリーズ。
フランス原産の成牛の肩部分を使用しており、荒々しい雰囲気が特徴です。
成牛は首から肩部分にかけて大きなシワがあり、革にしたときに虎の模様のような表情を残すことから「トラ」と呼ばれます。
ルーガショルダーの製品は、あえてトラを活かすように革を裁断されています。
生き物の証である、革の模様が好きな人にオススメのシリーズ。特に、写真のように明るい色はトラがよく分かります。
暗い色なら目立ち過ぎずにビジネス使いもできますし、用途に合わせてチョイスの幅も広い点も◎。
Image Photo by CYPRIS
内側には、国内の有名タンナーである栃木レザーを使用しています。
他のヌメ革よりも、繊細で上質な革が使用されていますが、表側&裏側共に水や油を吸いやすい点に要注意。
ルーガショルダー&ベジタブルタンニンレザーシリーズは、小銭入れ付き長財布で26,400円。
シラサギレザーのようなビジネスバッグはありませんが、眼鏡ケースやL字ファスナーのウォレット、キーホルダーもあります。
キプリス(CYPRIS)リンピッドカーフ シリーズ
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- 参考価格
- 38,500円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ビジネス使い想定の高級感あるシリーズ
・細かで繊細、上質な革を使用
・透明感ある染色&原皮の表情
続いては、リンピッドカーフシリーズ。
キメが細かい上質感が魅力のシリーズで、「ビジネス用で良い物が欲しい!」という方にオススメです。
使用されているリンピッドカーフは、水性染料であるアニリン仕上げによって染色されたカーフレザーを指します。
一般的にはアニリンカーフと呼ばれ、高級紳士靴にも良く使用されている革です。
革の表情が透けて見えるような透明感を感じさせつつ、キメ細かな革の表情を楽しめます。
最も高級感を追求したい人はこのシリーズが◎。
キプリスはコードバンを使ったシリーズも充実!ラインナップ紹介
また、キプリスは牛革だけでなくコードバンも非常に有名なブランドです。
世界でコードバンを鞣せる有名タンナーは主に2社しかありません。
アメリカ・シカゴにある「ホーウィン社」、そして日本の姫路にある「新喜皮革」です。
「ホーウィン社」は、オールデンの靴の革を供給しているタンナーとして非常に有名です。
一方、「新喜皮革」は世界で唯一、コードバンやホースハイドといった馬革だけをメインに生産するメーカーです。
Image Photo by CYPRIS
キプリスは、現行ラインナップでも複数のコードバンを使用したシリーズを展開しています。
いずれも、ハイランクなコードバンを良心的な価格で提供しています。
コードバンは基本的に「水染め」と「オイル仕上げ」の2タイプがありますが、新喜皮革はいずれも手掛けており、それぞれに異なる特性を持たせています。
オイルシェルコードバン&バケッタレザー シリーズ
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こちらは「オイルシェルコードバン」の内側に「バケッタレザー」という、(ルーガショルダー同様)成牛の肩部分を使用したオイルドレザーのシリーズ。
バケッタレザーは、イタリアのトスカーナ地方で鞣された伝統的な鞣し工程を経た革。
キプリス独自のネーミングではありません。
取り扱い方法は、ルーガショルダーと概ね同様です。
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オイルシェルコードバン ナチュラルコレクション シリーズ
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一方、オイルシェルコードバン ナチュラルコレクションシリーズは、使用していく内に飴色に変化することが特徴。
オイルを添加した後、水染め工程をスキップしてそのままフィニッシュ工程へと進んでいます。
そのため、元々の革の色が残っています。
スーツを着ているビジネスマン向けではないかもしれません。
しかし、革およびコードバンの質感がたまらなく好きな人には、素晴らしいシリーズではないでしょうか。
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ちなみに|コードバンの手入れ方法
コードバンの手入れ方法に関しては、普段は傷のつかないクロスで乾拭きのみでOK。
古くなったTシャツなど柔らかい布であればOKです。
一方、水拭きは水ジミを起こす&表面も傷つきやすくなってしまうので避けましょう。
また、お手入れの際はコードバン専用ワックスの使用をオススメします。
少し手入れの期間が掛かるものの、ギラつくと“たまらない”ツヤ感になってくれますよ。
ちなみに、私もキプリスの財布を愛用しています。
現行シリーズではありませんが、キプリスのオイルシェルコードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズの二つ折り財布です。
頂き物で長年寝かせていたのですが、前の財布が傷んだので先日から使い始めました。
長財布派だったのですが、(スマホ決済が中心になり)最低限しかカードを持ち運ばなくなったため、二つ折りを使用してみることにしました。
もちろん、コードバンに限らず、ご紹介した商品はいずれも長年使い甲斐のあるものばかりです。
最後に|キプリスはイメージは途上だが、商品は間違いない
今回は以上です。
紹介してきた通り、キプリス製品は「モノの良さ」という点では間違いないブランド。
一方、ファッションとは「モノの良さ」だけでは測れない部分があるからこそ、ブランドイメージが気になる方も多いですよね。
正直なところ、キプリスのHPは“イマひとつカッコよくないことがある”のは、私も思っています。
そして、ラグジュアリーブランドの「ブランド力が迸るような革小物製品である」とも言えません。
“モノの良さを追求し過ぎてパッケージの魅力がイマイチである”ことは多くの日本の実力派ファクトリーが抱える課題です。
個人的には、もう少しカッコ良さにイメージを振っていけると、国内だけでなく国外からも一層の評価を受けるブランドだと思います。
ただ、表側だけを取るか、中身を取るかという価値観の違いだと思います。
正直、大抵のハイブランドの革小物よりもキプリスの方が優秀であることは間違いありません。
イメージはさておき、良い革、良い職人の仕事を経た革小物がそこにある。
それはイメージばかりで中身が伴わないブランドよりもカッコいいと言えなくもありません。
ちなみに、私がキプリス製品に初めて触れたのが大学二年生の時。(今は無き)伊勢丹吉祥寺店でベルトを買おうと思った際、出会ったのが切欠でした。
当時は、「何となくだけれどコレが良さそう」で購入しましたが、結果として大正解だったと思います。
一緒にキプリスの良い革小物、使ってみませんか!
おしまい!
(少しでもお役に立てられたなら、SNSに拡散していただけると嬉しいです!)
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